40歳元バンドマンの人生やり直し

アラフォーの元バンドマンが人生をやり直すための備忘録。転職や副業の話、さらにはバンドマン時代の戦略や実情をつづっていきます。

ライブハウスでライブをするにはお金を払う必要がある? チケットノルマ制の実態

プロじゃないけど、ライブハウスでライブをしたい。

どうすればいいか?
 
簡単な事です。
お金を払えば誰でもライブできます。
 
多くのライブハウスが採用しているチケットノルマ制というビジネスモデルについて説明します。
 
 
その前に、僕よりもさらに10年くらい上の世代のライブハウスについて説明します。
今から20年以上前でしょうか。
かつては今ほどライブハウスの数も多くなく、ライブハウスが強い状態でした。
 
そのライブハウスに出たいと思うバンドの数のほうが多いですし、そもそもお客さんも分散しないので売り上げも今より好調だったと聞きます。
他に刺激的な遊び場(ライバルとなるアミューズメント施設)も少なく、ライブハウスというものが新鮮でカッコよく、楽しいものだったというのもあるでしょう。
とにかく今よりもライブハウスというものは確かに流行っていました。
 
そのため、ライブハウスに出演するには、オーディションというものが必要でした。
例えば、昼の部でオーディションライブをし、認められると夜の部に出演できるようになるとか。
ライブハウスには、お目当のバンド以外を見に来る人も今よりもいたので、バンドはライブハウスで実力を示せばファンが増えると言われ、とにかく腕を磨きました。
 
ところが僕の世代くらいになってくると、急激にライブハウスの数が増えました。
特に東京都内は本当にたくさんのライブハウスができました。
 
こうなってくるとどうなるか?
一つのライブハウスに対して、ライブをしたがるバンドの数が減ります。
正確に言うと、バンドの数も増えているのですが、仲間内で楽しみたいだけの趣味バンドが大きく増えて、昔に比べてバンドの平均レベルは落ちました。
それでもライブハウスは、バンドに出演してもらわないと経営が成り立ちません。
そのため、僕の世代では、ほとんどのライブハウスが、オーディションなどやっておらず、基本的に誰でも出演できるようになりました。
デモテープ審査というものはやっていても、それで落とされることはほぼありません。
下手でもなんでも、演奏できれば通ります。
 
ライブハウスの方針によります。
一部の老舗は、それでもオーディションをしてましたし、一定水準以上のバンド以外断っていたところもあります。
でも本当に一部です。
多くのライブハウスは、とにかくバンドにライブをやってもらいたいため、出演の条件は緩くせざるをえませんでした。
 
と、ここでチケットノルマ制というものを説明します。
それは、そのライブで売れるべきチケットの枚数を、バンドにノルマとして課す仕組みです。
 
例えば、2,000円×15枚のノルマという条件でライブ出演を契約するとします。
その時、そのバンドは5人しかお客さんが呼べませんでした。
すべてのお客さんは、入場時にどのバンドを見に来たか聞かれるので、どのバンドが何人お客さんを呼んだか全てわかるのです。
ノルマを達成できなかったこのバンドは、残り10枚×2,000円 = 2万円をライブハウスに払う必要があります。
 
つまり、ライブハウスの経営は、最低限出演バンドによって保障されているのです。
 
厳密に言うと、本当に15人来た方が、お酒なども売れるため、お客さんが実際にくるバンドのほうが嬉しいはずです。
しかし、全国的に知名度があるならばまだしも、毎回ノルマを達成できるバンドなどほぼいません。
 
ちなみに、ノルマを超えた時はどうするかというと、これは契約しだいです。
超えた分はバンドとライブハウスで折半する。
ライブハウス全取り。
バンド全取りなど。
細かい話は省きます。
 
とにかく、バンドがそんなにお客さんを呼べないことは、ライブハウスも承知しているので、最低限経営が成り立つ額をノルマとして課してるわけです。
 
これは極端な事をいうと、ノルマを全額払えば、お客さんが一人もいなくてもいいということです。
実際、お客さんが一人も呼べなかったバンドも、いくつも見てます。
一応、他のバンドが呼んだお客さんもいますが、みんな似たり寄ったり。
フロアにいるのはバンドマンだらけで、純粋な客は1人とか2人なんてよくある話です。
ものすごく高いカラオケです。
 
そうなってくると、ライブハウスはこんどは趣味バンドをターゲットにします。
趣味バンドは仲間内だけで楽しみたいだけなので、あまりライブの頻度も多くなく、ライブをする時も友達をドカンと呼びます。
年に1回くらいのライブなら、友達は来てくれます。
月に何回もライブやってるバンドだと、まず友達はこなくなります。
 
こうなると、ライブハウスは趣味のバンドだらけになり、普通の人がお金を出して楽しみに行く場所ではなくなります。
まさにカラオケ化します。
 
ライブハウスに音楽ファンがこなくなると、ライブハウスに出演してもファンが増えないという事になります。
 
ライブハウスも、バンドにチケットノルマ払わせればいいだけなので、独自に集客する努力をしません。
ライブハウスにとっての客とは、音楽ファンでなくてバンドなのです。
どんどん悪い方向に負の連鎖が続いていきます。
 
すべてのライブハウスがそうではありません。
中には志をもって、ノルマを取らずにバンドとの信頼関係をできるだけ築こうとしたり、面白いイベントを作って集客しようとか努力はしてます。
 
しかし、ライブハウスのブームはとっくに終わってるので、キャパシティー100〜200人くらいの、いわゆるライブハウスは経営が厳しい状況です。
 
ライブが終わると、バンドとライブハウスの人で色々と話、次はこういうライブしようとか相談をします。
 
でも、多くのライブハウスは、適当な感想を述べた後に
「次はいついつ出演できるかい?」と、出演枠を埋めることばかり考えてたりします。
 
何とかしなくてはと、頑張ってる人達もいるにはいますが、今はこれが現実です。
 
少なくとも、アミューズメント施設として、集客の経営努力をすべきだと僕は思います。
汚いとか、接客態度が悪いとか、飲食が充実してないとか、そんなのは言語道断です。
バンドから搾取すればいいと思っている証拠です。
 
どうすれば人が集まるか。
宣伝、サービス両面から経営努力をして欲しいですね。